2019/09

保護者の方とお話をする中で、私(や同業者)の中では常識のようなことでも、みなさんにとっては新鮮なことなんだな〜と思うことが色々あります。
そんなことを記事にできたらいいな〜、と常々思っています。

ある子どもが、ピアノをものすごく上手に弾けていたとして、「その子が5年後、10年後にピアノを嫌いにならずに弾き続けられるか?」を判断できる基準は何でしょうか?

それは、
「自分で楽譜を読んで(音やリズムを理解して)弾けているか」
です。

自分で読譜できている子は、新しい曲に挑戦することを嫌がらないので、どんどん挑戦して、上達して、楽しくなっていきます。
反対に、読譜できない子は、新しい曲や、聴いたことのない曲を弾きたがらないので、あまり上達せず、しまいには嫌いになってしまいます。

自分で音を読んで、リズムを理解して、弾けているかどうか、についてですが、一番簡単に見分ける方法は、子どもに階名唱(ドレミで歌うこと)をさせてみることです。両手奏の場合は、メロディーのみ、または伴奏のみ階名で歌わせてもOKです。これができない場合は、ほぼ、自分で理解して弾けていません。では、音を読めていないのに弾ける、というのはなぜ起こるのでしょうか?

それは、発表会のために!コンクールのために!と、先生や親が手取り足取り譜読みに付き合って、最悪の場合は先生や親が「ドレミ〜」と歌いながら教えているからです。
こうしていくと、本番の演奏は仕上がるかもしれませんが、後には何も残りません。親がお手本演奏を聴かせながら、子どもの譜読みにつきあうのも最悪です。(毒舌ですみません・・・)毒舌ついでに言うと、子どもが間違えた時「そこはドじゃなくてレでしょ!」と音を教えるのも最悪です。

こういう練習を積み上げていって残るのは、「猿真似の」演奏です。(私は「猿回し」とも言っています^^)

先日、ゆめタウンくだまつの屋内広場で、猿回しショーをやっているところに偶然通りかかりました。ものすごく優秀な猿で、人間の指示に完璧に従っていました。
あんな優秀な猿なら、教えこめば、ピアノ演奏もできると思います。(今まで誰もやったことないんですかね?)
・・・とこんなことを考えながら見ていると気分が悪くなってきて(笑)、その場を立ち去ったのですが・・・(^^)

私が声を大にして言いたいのは、我が子を猿回しの猿にしたいですか?ということです。
その本番だけ、発表会だけ、コンクールだけ、1回きりの演奏をものすごく上手に仕上げるのは簡単です。上手な大人の真似をさせれば良いのです。が、そこには本番の後には何も残りません。

どんなに小さな子どもでも、一人で譜読みして弾けるように、根気強く付き合うことが、本当に大事です。

さて、おすすめの声かけ方法は・・・(初めからこれを書けばいいのに、前置きが長くてすみません)
音を間違えていた場合は、
「この小節の中で間違えていた音があるよ」
「この音をドと弾いていたけど、本当は何かな?」
リズムを間違えていた場合は、
「この小節の中でリズムがおかしいところがあったよ」
または、楽譜を書ける人なら、その子が弾いていたリズムを該当の楽譜の上に書き込み、
「今、〜〜ちゃんが弾いたのはこのリズムだね。楽譜通りにするにはどうすればいい?」
と問いかけることです(^^)

「それはドじゃなくてレでしょ!」「そこのリズムは、タンタタじゃなくてタタタンでしょ!」と言えばすぐに正しく弾けるようになるところが、この方法だと倍以上の時間がかかります(^^)
でも、その時間をかけることが、本当に大事で、自分で、「あ!ほんとだ!間違ってた!」と気づいて、直せることが一番大事です。

あと、忘れていましたが、もっと高度な猿真似もあります。
読譜はできていて、きっちり弾けている子に、表現方法を猿真似させる演奏です。
これはぱっと聴いた(見た)だけでは判断しづらいのですが、ある程度の耳を持っている人なら、「これは猿真似」「これは自分の中から出てきた表現」と分かります。
理由も説明されず、「ここはこう弾くのよ!」と教えられ続けてきた子は、自分で「なぜそう弾くのか」を考えることができないので、いつまでも先生が「ここはこう弾くの!」と言ってくれるのを待つようになります。これはとっても不幸です・・・
表現方法の猿真似は、素人の耳では判断できないので、こっちの方が放置されやすいのでは・・・と個人的には思っていますが、長くなるのでこの話はまた別の日に!

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今日の午前中は、台風接近の中、第4回おとなの弾き合い会でした!
開催を迷いましたが、台風は夜に最接近!そして参加者は全員大人、ということで決行しました(^^)
人っ子一人いないPH通りでした・・・

<ソロの部>

Mさん 
ヘンリー・マンシーニ:映画「ひまわり」より ひまわり
「ラウンジミュージックに憧れて、映画音楽やジャズに挑戦してみました。臨時記号やリズムの難しさになかなか馴染めず、苦戦していますが、今日は心配されない演奏を目指して頑張ります🎶。よろしくお願いします。」

Tさん 
シェーンベルク:ミュージカル「レ・ミゼラブル」より 夢やぶれて
ティルセン:映画「アメリ」より ある午後のかぞえ詩
「老後でピアノが弾けたら楽しいかなぁと子供の頃に習ったピアノを思い切ってはじめてみました。孫4人がいるおばあちゃんでが、よろしくお願いします。」

Fさん                       
欅坂46:不協和音
「練習が全然できてないですが、暖かい目で見守って頂けると有難いです。歌詞がぐさぐさくる曲なので、いつか弾き語りでやりたいと思ってます(いつか)。」

植木
ランディ・ニューマン:映画「レナードの朝」よりDexter's Tune 
「大好きな映画の中のトップ10に入る『レナードの朝』の中でジャズサックス奏者のデクスター・ゴードンが弾いている、大好きな曲です。」

Tさん
クープラン:恋のうぐいす
「ソプラニーノ・リコーダーのおひろめです。」

Mさん
ショパン:幻想即興曲
「現在まともに弾けるのがこの曲しかありません…💦」

Yさん
MC BROOM AMANDA :映画「ローズ」よりThe rose
「今回初参加です!ブランク明けで拙いですが、初めましての気持ちを込めて演奏します。」

Hさん                      
中川ひろたか:にじ
「ピアノはほぼ初心者ですが、2年前に子どもたちが楽しそうに歌っているのを聴いて、いつか自分のピアノで歌って欲しいな…と思って練習した曲です。」

<連弾&合奏の部>

Tさん&植木(リコーダー2重奏) 
映画「ニュー・シネマ・パラダイス」より 愛のテーマ

Hさん&Fさん(連弾)                 
多田慎也:マイガール(嵐)

Mさん&植木(連弾)             
ガーシュイン:アイ ガット リズム

今回は初めてダイジェスト動画を作ってみました〜!

すでに4回目になったこの会ですが、毎回違うメンバーで、楽しすぎる時間です。
主催者なのを忘れて、またしてもみなさんの演奏に聴き入ってしまいました・・・

そして今回は、全12曲中、7曲がミュージカル&映画音楽という、映画好きにはたまらない会でした。
私の好きな映画音楽がたくさん出てきて、思わず作品を見返したくなりました(^^)
参加者の方が、私の弾いた「レナードの朝」を、早速帰ってから見返してくださったとのご連絡をいただき、とても嬉しかったです。
レナードの朝、何度見ても良い映画なので、まだの方は是非。
ジャズサックス奏者のデクスター・ゴードンが奏でるピアノが、とても味わい深くて、公開当初から大好きでした。

「ひまわり」、あの列車から一面のひまわり畑が見えるシーンが大好きです。
「レ・ミゼラブル」は、東京にいた頃、帝国劇場に観劇に行った思い出の作品です!
「アメリ」は、フランスに行ってみたい!と思ったきっかけになった映画で、後に本当に行きました(^^)
「レナードの朝」は、最後のダンスのシーンでいつも号泣してしまいます。
「ローズ」は、大好きなベットミドラーが出ているので、これまたお気に入りです。「ステラ」も好きです。
「ニュー・シネマ・パラダイス」も大好きで、ガラケー時代に自分で着信音を作曲してました。(今の若者には分からない話?)

・・・と、音楽好きの方々とは、映画の趣味も合うんだな!と大発見しました(^^)
まだまだ好きな映画&映画音楽がたくさんあるので、いつか、裏テーマ「映画音楽」の会を開きたいな、と思っています。
 
次回は10/25(金)です!
場所は、周南市のPHカフェさんです。
参加料は一人1,500円です。
生徒さんも、生徒さんじゃない方も、お知り合いも、お知り合いでない方も、楽器(ピアノだけでなく歌や管弦打楽器も大歓迎。伴奏します)を演奏する「大人」なら誰でも参加できます。
お気軽にお問い合わせください(^^)
http://cantabile.grupo.jp/free470114

弾き合い会が終わって、台風の吹き始めの風がビュービュー吹く中、単発レッスン4連発。
今日も充実した1日でした(^^)

定演の動画も編集中ですのでお楽しみに! 
 

今週のレッスンで、アキピアノ教本2巻をずっと頑張っていた生徒さんが、ついに教本を終えました!
要領よくパパッとこなして次にどんどん進む、というタイプではなく、自分でじっくり悩みながらコツコツ仕上げていくタイプの子なので、時間はかかりましたが、今までに得た技術は本物です(^^)

バーっとスピード感を持って上達していく子もすごいのですが、この子のように、コツコツ積み上げていって技術をものにする子の身につき方も本物です。
コツコツ型の子の上達には、なかなか周りは気づきにくいので、こうしてお伝えしています。

全ての動きが自分の頭の中で消化できているので、本当に成長したな〜!と感慨深いです(^^)
 
こんなことを以前も書いたような気がするな、と思って探したら、ありました(^^)
http://music-house-cantabile.blog.jp/archives/3243437.html

これからも自分のペースで上達していってくれたらいいな〜と思います!

最近、何かの記事で、ゲーム中毒になっている子に
「毎日2時間は必ずゲームしなさい」
「毎週1つのゲームをクリアすること」
「毎日必ずゲームをしてから遊びに行きなさい」
「ゲームはしたの?宿題する前に、ちゃんと2時間ゲームしなさいよ!」
「そんなことじゃ一流のゲーマーになんてなれないわよ!」
と言い続けたところ・・・
その子はゲームを嫌いになってしまった・・・という笑い話を読みました(^^)

どんなことでも、強制されると嫌になるんですよね〜
上の話でも、一般的に「ゲームより勉強の方が大事」と思われているところを、あえて逆にして、ゲームを義務化したところがミソかな、と思います。


私は本が大好きですが、小中学校の頃、決められた本を読んで(課題図書)読書感想文を書くのは、死ぬほど嫌いでした(笑)。嫌すぎて、本文ではなくあとがきを読んでから感想文を書いていたくらいです。
国語の授業でみんなで同じ話を読むのは嫌いでしたが、まだ習ってない、先のページを一人で読み進めるのがものすごく好きでした。ひねくれてますね・・・

私の本好きは、誰に強制されたわけでもなく、親や祖父母がいつも楽しそうに本を読んでいる姿を見ていたから、自然とそうなったんだろうと思います。「本を読みなさい」と言われたことは1度もありませんが、本ってものすごく面白いものなんだろうな、と字が読めない頃から思っていました。親に欲しいものを買ってもらった記憶はあまりないのですが、本ならいくらでも買ってやれ、と父が母に言っていたのは覚えています(^^)


さて、この話をピアノの練習にもあてはめてみます。

「ピアノの練習」を、ごほうびとかお楽しみという位置付けにするのです。
「宿題が終わったら、ピアノを弾いてもいいよ」
「明日の準備ができたら、好きなだけ弾いていいよ」
という風に・・・
そして、言葉だけでなく、親の方が、心から、ピアノの練習は楽しいもの、と思うことがポイントです。
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・・・と書いていて、そういえばうちの教室のある生徒さんのお母さんは、既にこういう声かけをされていることに気づきました!
「ごはんとお風呂が終わったら、大好きなピアノを弾いていいよ。だけど、〜時には寝なさい!」と。これを聞いた子どもは、早くピアノ弾きたい!と、頑張ってごはんとお風呂を早く済ませるのだそうです(^^)

このお母さんは、ピアノの練習を本当に楽しいもの、と思っておられて、当然子どもたちも「もっと弾きたい!」「練習したい!」と、なるわけです。
 
もし子どもが、ピアノの練習をめんどくさいもの、いやなもの、できるならやりたくないもの、と思っているとしたら、それは親の方が内心
「ピアノの練習って大変だよね」
「めんどくさいけど、やらないと上手にならないよ」
「練習はつらいけど、成長できるんだから」
「練習せずに上手になれたら一番楽なのに」
と思っていて、その本心が、子どもからは透けて見えるのかもしれません。 

私の教室では、「れんしゅうチャレンジ」と言って、月あたりの練習時間を競うゲームのようなものがあるのですが、これの上位の子たちは、ピアノの練習をピアノの練習と思っていない(笑)のです。遊びか何かと思っていて、こんな楽しいこと、いくらでも続けられるもんね!と思っているふしがあります(^^)

というわけで、まずはピアノの練習を「お楽しみ」という位置付けにしてみるのはいかがでしょうか。

久々に理屈っぽいブログを書いてしまいました・・・(^^) 
 

最近、教育ジャーナリストのおおたとしまささんの文章が好きで、よく読んでいます。
この方を知ったのは、「教育虐待」という言葉を知ってからです。
ご興味のある方は調べてみてください(^^)

今日も面白い記事を見つけました。
https://ameblo.jp/toshimasaota/entry-12490595835.html


中学受験を終えたばかりのある母親は次のように話してくれました。
「6年生の冬、いよいよ大詰めというころ、誰に言われるでもなく自分から机に向かい、目の色を変えてがんばる息子の姿を見たとき、息子の成長を感じました。目標のために自ら机に向かうようになるなんて『ずいぶん成長したなぁ』と涙が出そうでした。その時点で中学受験をして良かったと本気で思えてからは、合否が怖くなくなりました」

この経験、我が子をピアノコンクールに参加させる保護者の方からいただく感想と、全く同じだな〜と思いました。

「曲が仕上がるかな、とか、大舞台で弾けるかな、と心配ばかりでしたが、自分からピアノに向かって頑張る姿を見れただけで私は大満足です。もうコンクールは終わりました(笑)」と、本番前におっしゃる方もおられます(^^)
もちろん結果が出れば嬉しいのですが、それ以前に、こういう心境になれるのは素晴らしいな〜!と、一人、感動していました。

秋にもピアノステップ やコンクールにたくさんの子どもたちが挑戦します。
楽しみです!
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今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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